日本では報道されない「難民」をリアルに描いた選りすぐりのドキュメンタリー6本。
日本語字幕を付け、8月31日まで見放題オンラインシアターです。
ご自宅から映画を通じて、難民一人ひとりの人生をぜひ感じてください。
それでは各作品の見どころをご紹介します。
ソニータ
タリバンから逃れるためアフガニスタンから難民としてイランへ逃れた少女ソニータ。テヘランのシェルターで教育を受ける彼女の将来の夢はラップ・ミュージシャン。だが祖国に住む親は兄の結婚資金を得る為にと、彼女に政略結婚を命じる。そもそもイランでは女性がソロアーティストとして活躍する事も出来ない。それでも夢を捨てきれない彼女の運命を変える出来事が起きる。果たしてソニータは人生を変えるチャンスをものにする事ができるのか―。
アフガニスタンからの難民を長年受け入れているイラン社会で生きるソニータと、イラン出身の女性監督の出会いが双方にもたらしたものは何か。早婚を強いる故郷の風習に抗うソニータの心の叫びを表現したラップは、海を越えて人々の心を揺さぶり、ソニータの夢の実現へと導く。
女を修理する男
コンゴ民主共和国出身の婦人科医、人権活動家デニ・ムクウェゲの姿を追ったドキュメンタリー。ムクウェゲ医師は第2次コンゴ内戦以来続く戦禍の中でレイプ被害にあった数多くの女性を治療し、彼女たちの精神的なケアと啓発活動にも人生を投じた事が評価され、2014年にサハロフ賞を受賞した。
カメラはムクウェゲ医師と彼を支える人々、レイプ被害者の女性たち、そして戦乱の背景にある紛争鉱物の実態にも迫る。
国連による厳重な警戒の中、帰国したムクウェゲ医師を大勢の女性が出迎える。女性たちは大統領や国連事務総長に手紙を出し、医師が帰国し安全でいられるよう請願したのだ。紛争の背景には、私たちの身近にあるパソコンや携帯電話に使われる鉱物資源の違法な採掘がある。
アレッポ最後の男たち
アレッポはシリア北部に位置し、シリア最大の都市だった。
しかし、2011年3月に始まった内戦は町も人も破壊した。昼夜を問わず爆撃が続く。
自らの命を顧みず、がれきの中からなった生存者を救おうと駆けつける男たち「ホワイト・ヘルメット」。戦闘機が再び攻撃を仕掛けて来るかもしれない中、人々の命を救おうとする男たち。だが彼らにも守るべき家族がいる。自らの命を懸け、家族を危険にさらしてまで、そこに留まるべきか否か―。
彼らを突き動かすものは何なのか ― かけがえのない一人ひとりの命の重みを問う渾身のドキュメンタリー。
ナディア ― On Her Shoulders
2018年のノーベル平和賞の受賞者、ナディア・ムラドは過激派組織ISISによる虐殺と性奴隷から逃れた23歳のヤジディ教徒。彼女は、普通の女の子として生きたいという思いがありながらも、残された同胞のため、国連などの国際的な表舞台でヤジディ教徒が直面する現実を訴える。やがて、同郷の人々の希望の存在となっていく。
普通の女の子として生きたかったナディア。彼女が世界を舞台に、性的暴力の被害者を代弁する決意と行動は、人間の問題として向き合わなければいけないことを、私たちに真っ直ぐに問いかける。原題「On Her Shoulders」、つまり「彼女の双肩にのしかかっている」重荷を、私たちはいかに分かちあえるのだろうか。
難民キャンプで暮らしてみたら
2人のアメリカ人青年の制作チームが、シリア難民が暮らすヨルダンのザータリ難民キャンプでの滞在を許可された。キャンプ内のテントで1カ月生活し、テントを建てたり配給に並んだりする難民の日常生活を体験。
「隣人」たちとの日々の交流から見えてきたのは、トラウマを抱えながらも、自分にできることを見出し、平和を求めて懸命に生きる一人ひとりの姿だった。キャンプの外で暮らす8割の難民たちの生活についても知りたいと、近隣の町で暮らしている母子家庭も訪問。
原題Salam Neighborにある”Salam”とは、アラビア語で「平和」という意味を含むあいさつの言葉。
ミッドナイト・トラベラー
アフガニスタンの平和をテーマにした作品がタリバンの怒りを買い、その首に懸賞金をかけられた映画監督のハッサンは、妻と2人の娘たちと故郷アフガニスタンを逃れることを余儀なくされる。
映画監督として、時に出演者として、ハッサンは携帯電話だけを手に、タジキスタン、トルコ、ブルガリアを経て、安全な場所を求めてさまよう一家の命がけの旅を記録していく。故郷を追われて難民となるとはどういうことか、当たり前の日常を奪われた一家の苦悩と希望の灯が、スマホを通して臨場感をもって観るものに迫りくる。