「募金つきオンラインシアター UNHCR WILL2LIVE Cinema 2020」で視聴可能な映画6作品の中に、シリア紛争を背景としたドキュメンタリー映画が2本あります。
シリア各地で一斉にデモが行われ、反政府運動が拡大したのは、東日本大震災(3.11)が起きた頃。あれから9年、日本の被災地は世界からの助力もあり、復旧が進んでいます。
しかし、シリアは戦闘が終結したわけではなく、過酷な状況は変わりません。
『アレッポ最後の男たち』は、シリアの街アレッポで、昼夜を問わず爆撃が続き人々が逃げ惑う中、誰よりも早く瓦礫の中から生存者を救うため、爆撃地に向かう男たち「ホワイト・ヘルメット」の姿を追い、2017年に発表された作品。
『難民キャンプで暮らしてみたら』は、2人のアメリカ人青年が、シリア難民が暮らすヨルダンのザータリ難民キャンプ内のテントで1か月生活して難民の日常生活を体験し、2015年に発表した作品です。
シリアは、中東・西アジアの共和制国家。北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、南西にイスラエルと国境を接し、北西は東地中海に面しています。大統領制をとる共和国で、1963年の3月8日革命(クーデター)以降、一貫してバアス党(アラブ社会主義復興党)が政権を担っています。
アラブ世界ではエジプトに次ぐ軍事大国で、男子には兵役義務があります。敵国であるイスラエルの侵攻を防ぐことを重視し、おもに友好国であるロシアから武器を調達。サウジアラビアやカタールなどの湾岸地域のスンナ派アラブ諸国とは敵対関係にあり、これらの国々はイスラム過激派を含むシリアの反政府勢力への支援を行ってきました。
2010年12月に始まったチュニジアのジャスミン革命から、アラブ世界に波及したといわれる「アラブの春」の影響を受けて、2011年3月半ば、シリア各地の主要都市で一斉にデモが行われ反政府の抗議運動が拡大しました。日本ではちょうど東日本大震災(3.11)が起きた頃のことです。日本ではこの自然災害によって2万人を超える方々が亡くなりました。一方、シリアの内戦では、当時の人口2100万人の内、これまでに30万人以上が命を落としたと言われています。
この数字一人ひとりに、家族や彼らを取り巻くコミュニティがあったはずです。
『アレッポ最後の男たち』からは、危険な状況においても、仲間を守るために全力を尽くす、そこに生きる一人ひとりの意志が伝わってきます。今の自分はどれだけ真剣に日常を生きているだろうか、と思わずにはいられません。
『難民キャンプで暮らしてみたら』からは、そこで出会った隣人が、困難な日々を懸命に生き抜こうとしている、一人ひとりの物語を知ることができます。
「募金つきオンラインシアター」への参加申し込みはこちら
https://will2live.jp/unhcr/2021/otwd2020-01/
UNHCRによるシリア難民や避難民への支援
https://www.japanforunhcr.org/archives/20465
シリア危機が始まって、もう9年
https://www.japanforunhcr.org/lp/syriacrisis