CINEMA作品紹介

【作品解説】シャドー・ゲーム ~ 生死をかけた挑戦 

 WILL2LIVE Cinema 2021で本邦初公開となった映画『シャドー・ゲーム ~生死をかけた挑戦』の日本語字幕は、青山学院大学総合文化政策学部「映像翻訳ラボ」の学生15名が作成しました。このページでは、より多くの方が本作品の理解を深め、映画をいっそう楽しんでいただけるよう、私たち「ラボ」の学生が独自にまとめた作品解説を掲載しています。本作品の視聴と合わせてお読みいただければ幸いです。

目次

  1. 概説
  2. プレーヤーとなる若者たち
  3. 彼らが「ゲーム」をする理由
  4. 用語解説
  5. Shadow Game Project とは
  6. ラボ生の注目ポイント

1.概説

〇作品内容

 現在、内戦や紛争が続く中東やアフリカから、大量の人々がヨーロッパへ新たな居住先を求めて移動している。あなたは、10代の若者が、安定した生活を求め、命がけで国境を越えようとしていることを知っているだろうか。本作品は、彼らの欧州への旅路に密着したドキュメンタリーである。

 戦争・迫害から逃れるために母国を去った彼らが目指す先は、イギリスやオランダ、イタリアなど、入国できれば「難民」として認定される可能性のあるヨーロッパの国々だ。そこへ行きつくまでには他のヨーロッパ諸国を通過しなければならないが、それは容易ではない。「ゴール」への道のりは数千キロにも及び、様々な移動手段を駆使して目的地へ向かう。列車に飛び乗り、コンテナに紛れ、少ない食料を頼りにひたすら歩く。移動するだけで体力が削られていく、過酷な旅である。最大の難所は、監視の張りめぐらされた国境付近だ。難民希望者であっても不法な国境侵犯は認められない。そのため、国境をまたぐところを警察に見つかれば、過度な暴力や拷問の末、元いた場所に送り返されてしまうことも少なくない。いかに警察の目を逃れ、無事に次の国へ侵入できるかどうか。彼らは、そんな危険な挑戦を「ゲーム」と呼んでいるのだ。難民として認定される可能性の高い彼らが、なぜ保護されるどころか攻撃されてしまうのか? 映画はこの不可解な状況を描き出す 。

 彼らは皆、十分な教育や医療を受けられる、穏やかで健康的な暮らしを求めている。このような生活は、日本に住んでいる限り、「普通」で「当たり前」だと感じてしまう。しかし、安全な場所で生活することの出来る人々は幸運だ、と彼らは訴える。彼らは、祖国に残した家族と安心して暮らせる未来を願う。

 映画の終盤では、新型コロナウイルスの影響を受け、彼らが思い通りに「ゲーム」を進めることのできない様子が映される。「ゲーム」という名の、彼らの命をかけた挑戦は、現在も続いているのだ。

〇本作の成立事情

本作の共同監督エーフィエ・ブランケフォールト (Eefje Blankevoort) とエルス・ファン・ドリール (Els van Driel) は、2014年よりヨーロッパの難民に関する活動をともに行ってきた。2人は、2017年にギリシャでEUトルコ合意を題材とした映画製作に取り組んでいた時に、本作の主人公の一人であるムハンマドと出会った。彼は危険な地域にたった一人で滞在しており、自分がどこにいるのかも分からない状態だったという。そして、エーフィエらは、彼のようなヨーロッパを目指す若者の難民希望者に関心を持ち、リサーチを開始した。難民希望者が滞在していると思われる国境付近などを訪れ、ヨーロッパへ向かう多くの若者と話す中で、彼らが越境することを「ゲーム」と呼んでいることに衝撃を受け、この映画の制作を決めた。

参考:
SHADOW GAME | Film Talk with Eefje Blankevoort, Els van Driel | 2021 @home

本作の監督2人のインタビューを収録したPodcast
Eefje Blankevoort, Els Van Driel – Shadow Game #FIFDH21 (fred.fm)

〇作品の公開状況

この映画は3年間にわたり撮影され、その一部は主人公たち自身によって携帯電話で撮影されたものである。2021年9月から、ドイツの複数の映画祭で公開された。他にもイタリア、スペイン、ベルギー、スロバキア、スイスなど各国の映画祭で上映が決まっている。2021年3月にスイス、ジュネーブで開催されたFIFDH映画祭にて、青年審査員賞とジュネーブ大賞を受賞。これらを始めとし、計4つの賞を受賞、またはノミネートしている。日本では今回のWILL2LIVE Cinema 2021でのオンライン上映が初公開となる。

参考
ShadowGame』がFIFDH映画祭で2賞を受賞したことを伝える記事 
Shadow Game wint twee prijzen op filmfestival FIFDH in Genève(elsvandriel.nl)

ShadowGame』の作品内容やクレジット
Shadow Game – Witfilm (witfilm.nl)

2021年に青年審査員賞を受賞した作品一覧
International Film Festival and Forum on Human Rights (2021) – IMDb

FIFDHによる『ShadowGame』の紹介
Shadow Game – FIFDH Geneva(fifdh.org)

2.プレーヤーとなる若者たち

本作品に登場する主な少年たちを紹介する。彼らの旅の目的はヨーロッパで新しい居住先を見つけることだが、「ゲーム」を始めた理由、旅の経路、最終目的地等はそれぞれ異なる。彼ら自身について知り、一人一人が置かれた状況を把握してみよう。

*赤い線は本作品内で取り上げられた、主人公たちが越えなければならない国境線を表している。

・SK

出身:アフガニスタン
年齢:15歳
多くの仲間を連れてゲームに挑む。ボディビルが趣味で、将来の夢は生物学を学ぶこと。最終目的地はイタリア。しかし、途中で警察に何度も捕まり、旅は難航する。

・ムハンマド(Mohammed)

出身:シリア
年齢:14歳
シリアから抜け出し、野宿をしながら「ゲーム」に挑戦する。家族の中でシリアを逃れたのは自分と兄のみで、父は行方不明。母や姉妹たちを救うために、兄とのヨーロッパ行きを決意する。

・ジャノ(兄)とシロ(弟)(Jano&Shiro) 
出身:シリア
年齢:18歳と15歳
2人は移動先のトルコで、劣悪な環境の中、仕立て屋として働いた経験を持つ。仕事を辞めたのちも、クロアチア国境で暴行を受けるなどの苦難に見舞われるが、屈することなくさらに先へと進む。

・ドゥッラーブ(Durrab) 
セルビアからハンガリーとの国境を越えようと試みるが、1年半足止めを食らう。家族に心配をかけないために、健康に暮らしていると嘘をつく。
出身:パキスタン
年齢:16歳

・ヤシーン(Yaseen)
これまで17回以上、セルビアからの越境を試みるが、失敗。この国境付近で猫のシェールと出会う。
出身:パキスタン
年齢:17歳

・ファイズ(Faiz)
戦争で壊滅状態の故郷を逃れる。将来の夢は、スーダンのリーダーとなって故郷を再建すること。
出身:スーダン
年齢:15歳

・ムスタファ(Mustafa)
故郷にも移動先にも居場所がなく、家族は皆離れて暮らしている。警察から拷問を受け、手に怪我を負う。
出身:イラク
年齢:17歳

3.彼らが「ゲーム」をする理由

 そもそも、本作品に登場する少年たちはなぜ「ゲーム」に挑むのか? 彼らは「難民」であり、保護されるべきではないのか? 彼らを取り巻く現状を知ることで、その理由が見えてくる。

 まずは、「難民」と「移民」の違いについて触れたい。現在、国際的に認められている正確な移民の定義はないが、国連の国際移住機関(IOM)は「国内外か、どのくらいの期間かに関わらず、本来の居住地から離れて移動する人」の総称だとしている(注1)。移動しなくても生きていけるが、仕事の都合や留学等の理由で移動することを選択した人々を「移民」と呼ぶ。そして、難民(refugee)とは、政治的な迫害、武力紛争、人権侵害等により半ば強制的に自国を逃れ、他国に庇護を求める人々を指す。つまり、難民と移民はそれぞれ違う人のことを指す言葉である。しかし、両者は客観的に区別が難しいため、受け入れ国が公的に「難民」と認めるまでは、その国あるいは第三国での定住ができない(「難民」と認定されなければ母国に強制送還されてしまう)。「ゲーム」に挑戦する若者たちは、祖国が戦場になっており、命の危険を感じて他国へ逃げることになった「難民」だが、庇護申請の手続きを経て「難民」であると認められていない以上、不法入国を試みるしかないのである。

 2011年の「アラブの春」をきっかけとしたシリア内戦の長期化により、現在、国のキャパシティを上回るほどの難民や移民が流入している。ヨーロッパの人々からすると、それに伴う治安の悪化や、失業者の増加が懸念される。特に、中東からヨーロッパへの玄関口となる、バルカンルート(注2)に位置する国々は、難民受け入れの負担が大きくなる傾向にある。本作品に登場するドゥッラーブが足止めされたハンガリー・セルビア間国境は、そのバルカンルートに位置する国であるが、難民受け入れを拒否する政策を打ち出すハンガリー首相によって、フェンスで封鎖された。難民を受け入れる体制が十分に整っていない国もあれば、難民や移民の大量流入に対して否定的な感情を持つ国民を数多く抱える国もある。彼らの旅が厳しいものになる背景には、このようなヨーロッパ諸国の現状がある。

 「ゲーム」をする彼らが目的地にたどり着くまでには、いくつもの国境を越えなければならないが、それは決して簡単ではない。越境を試みる場面で見つかれば、国境警備隊に持ち物を奪われ暴力をふるわれた挙句、もともといた場所に送り返されてしまう。さらに、国境に辿り着くまでも、厳しい自然に耐えねばならない。本作品中でも、暗く寒い山の中で寝泊まりし、足を滑らせるほどの険しい道を歩くシーンが見られる。

 祖国に残っても、「ゲーム」に挑戦しても、命を落とす危険がある。本作品に登場するような若者の難民たちは、他国で教育や医療、安全な生活を得る将来に希望を託し、「ゲーム」に挑戦しているのだ。

(注1)参考:移民の定義 | 国際移住機関 – International Organization for Migration 

(注2)バルカンルート:ヨーロッパ諸国、特に西欧や北欧を目指す人々が用いるルートのひとつ。トルコからギリシャに渡り、バルカン半島、マケドニア、セルビア、ハンガリーと北上する。地中海を渡るルートより比較的安全に移動することができる。

4. 用語解説

・「密入国業者」
 密入国業者とは、移民が非正規に入国するための移動手段を売る人々のこと。英語ではsmuggler、日本語では「密入国業者」「密入国ブローカー」などと呼ばれる。実際に、ボートや大型船による海上輸送や、トラックのコンテナによる陸上輸送が行われている。いずれも、利益のために、大量の難民を乗り物に詰め込んで輸送するケースが多い。本作品では、SKとワカスがコンテナでの移動中に警察に捕まり、先に進めなくなるシーンが見られる。紛争や政治的迫害から逃れようとする難民たちの中には、非人道的な扱いをされるにも関わらず、彼らを頼って目的地への入国を試みる者がいる。密入国は犯罪組織が関与しており、大勢の難民を乗せたゴムボートが転覆し、死者を出した事件や、冷凍トラックの荷台に大勢の難民を詰め込み、全員が窒息死してしまう事件も起きている。密入国業者が違法な入国手段を売ることで、多くの利益を得ていること、業者が難民を人間扱いせず、儲けの道具として利用していること、それにもかかわらず、難民たちは危険を承知の上で、業者に代金を支払い越境を試みていることが問題だ。

・ハンガリー・セルビア間国境について
 バルカンルートに位置するセルビアを通過することは、欧州北部を目指す移民にとって、重要な意味をもつ。セルビア政府は隣国から越境する難民や移民に対して、厳しい姿勢を見せてこなかった。セルビアは非EU加盟国、シェンゲン協定(注1)にも参加していない国だ。そのため、移民たちはセルビアを居住地として適切だと考えない。一方、セルビアの北に位置するハンガリーはEU加盟国であり、シェンゲン協定にも参加している。この協定に参加しているハンガリーへの入国を認められれば、移民でも旅券(パスポート)なしで加盟国域内での移動が可能になるのだ。
 しかし、ハンガリー政府は2015年に新法を施行し、セルビアからの不法な入国に対する取り締まりを強化した。ハンガリー政府はセルビアとの国境にフェンスを設置した後、数百人もの兵士や警官を配置し国境付近の警備体制を強めた。また、シェンゲン地域への入国を試みる移民数万人の拠点としていた地点を封鎖。その結果、多くの移民がセルビア側の国境で立ち往生する事態となった。本作品冒頭に登場する少年たちも、このハンガリーのフェンスで足止めを食らっている。
(注1)シェンゲン協定(シェンゲン規則):ヨーロッパ諸国の加盟国間では出入国審査なしで国境を自由に往来できることを定めたシェンゲン協定および関連規則のこと。ただし2015年以降、中東・北アフリカなどからEU諸国に大量の人々が移動してきた際、緊急対応としてドイツ、オーストリア、ハンガリーなどが一時的に国境管理を再導入した。

5.Shadow Game Project とは

 実はこの映画『シャドー・ゲーム〜生死をかけた挑戦」は、これだけで完結していない。本作の監督たちは、Shadow Game Projectといプロジェクトを立ち上げ、本作品もその一環である。 プロジェクトは、他にもゲーム、写真展、キャンペーン、4つの短編ドキュメンタリーで構成されている大規模なトランスメディアの企画だ。他のコンテンツも視聴、または体験することで、安全を求めてヨーロッパを目指す若者たちが直面する、庇護申請の苦難などの様々な問題についてより深く理解することができる。
Shadow Game Project の詳細はこちら

FILM
『シャドー・ゲーム ~生死をかけた挑戦』Shadow Game(本作)

MANIFESTO
   まだ子どもとも呼べる若い難民には、受け入れ国が助けの手を差し伸べる義務があり、彼らに対する暴力は決して許されることではない。以下のサイトでは、本作品に出演した若者たちのように、危険な旅をする子どもを保護するための訴えに賛同する人へ署名を呼びかけている。
詳細なマニフェストの閲覧…https://shadowgame.eu/en/manifesto/ 

PHOTO STORIES
 2021年9月〜12月にわたり、ニューヨークの無料フォトフェスティバルPhoto Ville にて、Shadow Game Projectから、”A New Beginning”と題したフォトギャラリーが出展される。写真家のCigdem Yukselが出会った難民の子どもたちの生き生きとした姿を見ることができる。詳細はこちら
また、オランダ国内でも、ハーグとアムステルダムにて2度にわたって”A New Beginning”の屋外展示会が開催された。

SHORT DOCS
本作品の、その後を追った4つの短編ドキュメンタリー映画。
(1)『ジャノとシロ』Jano&Shiro(公式サイトにて公開中)
 シリアから常に一緒に旅を続け、ついにオランダへ到達したジャノとシロ兄弟だが、年齢が違うために別々の道を歩むことになる。2人のオランダで過ごす最初の1年に密着したアフターストーリー。ページの下部に、彼らが旅をしながら聞いていた音楽のプレイリストや、彼ら自身が撮影した写真・動画も公開されている。 2020年11月18日〜12月6日に、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭(IDFA)で初公開された。この映画のIDFA公式ページはこちら

(2)『ドゥッラーブの迷宮』Durrab’s Labyrinth(公式サイトにて公開中)
 4月16〜25日に”Shorts that Matter 2021| Movies that Matter”にてオンライン公開された短編ドキュメンタリー。「ゲーム」に挑戦する若者たちの中にはもちろん、無事に目的地へ到達できた者もいる。しかし、その他は人身売買や売春が蔓延する闇の世界の奴隷となってしまう者もおり、ドゥッラーブもその一人であるーー。
 また、こちらはインド映画風のカット。彼と仲間たちが、インド映画を好きだと知り、撮影した映像である。本編に載せられなかったが、公式サイトにて公開されている。

(3)『ムハンマドの夢』  Hammoudi’s Dream (現在制作中) 
  14歳でシリアの家族と離れ、悪夢のような旅を続けるムハンマド。一方で彼は、医者になりたいという夢を追いかけている。ようやくオランダに到着したその後も、彼には多くの困難が待ち受けていた。

(4)『SK最後の挑戦』 SK The Last Level(現在制作中)
 アフガニスタン出身のSKは、イタリアを目指して2年もの旅を続けている。イタリアを目前にして、「この最後の段階を乗り越えれば、僕の抱える問題は全て解決だ」と語るSKだが、はたして本当にそうなのだろうかーー。

GAME  
 本プロジェクトのテーマである「ゲーム」をなぞり、実際の「ゲーム」経験者の話を基にしたシミュレーションゲームを開発中。若い難民がどれほど困難な問題に直面しているのか、ゲームを通して誰でも体験することができる。ゲームのトレイラーはこちら
『シャドー・ゲーム ~生死をかけた挑戦』と合わせて、以上のプロジェクトを体験することで、彼らがどのような思いで旅を始めたのか、そのバックグラウンドや、庇護申請をした後にぶつかる壁など、難民問題の背景や現状についてより詳しく知ることができる。

6. ラボ生の注目ポイント

この作品を翻訳した映像翻訳ラボの学生たちから、本作品の見どころをお伝えします。

学生A:ムハンマドが最初に登場した際の、彼の独白シーンに注目してほしい。本作品内で「ゲーム」に挑む若者たちの中で、14歳と最年少だが、警察からの暴力や、孤独な旅の辛かったであろう経験を寂しそうに笑いながら語る姿が印象的だ。

学生B:物語の序盤、高架下にてフアードが明かりの灯る家々を見ながら、「あそこに住んでいる人たちは幸せ者だ」と語るシーン。私たちの過ごしてきた10代と比べ、彼らの10代がどれだけ過酷なものであったのか、想像させられた。また、インタビュー中に列車が通る騒音で彼の話は中断される。一般的にはカットされるであろうシーンをカットしないことで、それほど生活に適さない場所で寝泊まりする現実を見た。

学生C:物語の後半、ファイズが弟アフメドと再会し、家族に電話をかけるシーン。電話の向こうで涙声になる母親に「泣かないで」と、そして妹に「すぐ会いに行くね」と声をかけており、厳しい道のりの中でも希望を捨てずに、離れて暮らす家族を想っている姿に心を打たれる。

学生D:作品全体を通して、若者たちが自らスマホで撮った映像が多く登場するため、臨場感があふれているところ。それによって、彼らの旅の緊迫感やありのままの姿が見られる。若者たちが話している言語は日本人にはなじみのない言葉ばかりだが、たとえ言語の壁があっても気持ちや想いが伝わる。

学生E:序盤に登場する少年のラップシーン。厳しい経験をしてきた彼らだからこそ書ける歌詞で、ラップでそれを表現しているところに若者らしさを感じられる。

学生F:話の終盤、SKが地雷の埋まっている区域であるにも関わらず、ためらわずに突き進むシーン。見えない恐怖によって緊張感が高まるシーンであり、「ゲーム」の危険性がとてもリアルに感じられた。

・青山学院大学 総合文化政策学部 映像翻訳ラボについて

 青山学院大学総合文化政策学部には、外部の企業や団体と協力して活動する実習授業「ラボ・アトリエ実習」(通称「ラボ」)があります。「映像翻訳ラボ」(正式名「映像翻訳を通じて世界と関わる」)は、2010年度から継続しているプロジェクトで、宮澤淳一教授の指導のもと、日本映像翻訳アカデミーでの研修・指導協力を経て、「UNHCR WILL2LIVE Cinema」(旧称「UNHCR難民映画祭」)や「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」等で上映される作品の字幕作成に、毎年取り組んでいます。

 今回の担当作品『シャドー・ゲーム ~生死をかけた挑戦』は、ラボ創設から30本目の字幕提供映画であり、2021年度履修生15名が字幕を作成しました。本作品の翻訳をしながら、私たちより若い人々が戦争の中を生き抜くために、危険な「ゲーム」に勇気を持って立ち向かっていることを知りました。本作品を通して、ヨーロッパにおける難民の実情や、祖国での戦争から自力で逃れようとする人々の存在を知っていただければ幸いです。

 最後に、この映画に携わるという貴重な機会をくださった、国連UNHCR協会と日本映像翻訳アカデミーの関係者の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。また、本解説ページの記述についてご教示いただきました本学部の飯笹佐代子先生、別ページにて掲載されている監督インタビューの英文校閲をしていただいた本学部のマイケル・クシェル先生に心より感謝致します。加えて、本編字幕作成にあたり、人名表記や背景事情等、不明点をご教示くださった専門家の先生方、字幕に関する知識をご教示たまわりました日本映像翻訳アカデミーの桜井徹二先生、石井清猛先生に深く感謝申し上げます。そして、字幕制作および本ページ作成にあたり、ご指導いただいた映像翻訳ラボ担当教員の宮澤淳一先生に厚く御礼を申し上げ、感謝の意を表します。

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©青山学院大学総合文化政策学部映像翻訳ラボ(宮澤淳一研究室)

< 主催 >
特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
< 協力 >
国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所
< パートナー >
独立行政法人 国際協力機構